![]() 7月某日は誕生日だった。やっぱり、フィンドホーンで迎えるのはいいものだ。 誕生日というのはちょっと厄介だと思う。一応お祝いすることになっているが、するのはめんどくさいと思うのは私だけではないはずだ。ただ何もしないと寂しい気もするので、たいてい食事に行ったりする。私はコミュニティであまり大きなパーティは開いたことはない。旅行に行ったり、ワークショップやリトリートの最中ということもよくあった。誰を呼ぶとか、考えたりするのもちょっとおっくう。それを楽しめるときもあるけどね。ただ、なんとなくそわそわする。だからやっぱり何かしようと思った。 今年は何をしよう? 食事に行ったりするのはなんか違うな、パーティーって感じでもないなとふと思ったのが「絵が描きたい」だった。タイガー・シングルトンに一緒に行ったKはアートセラピストでもあるので、彼女に頼もうと思ったら、その日は出かけるという。そこで、Beverley (べバリー)に頼んでみると、ぜひやりましょう!とのこと。彼女のセッションは10年以上前に、フィンドホーン財団の今はなき「ファウンデーション・プログラム」の中で受けたことがあるが、そのとき1回きりだった。まる一日やりましょうという話になり、10時にフィンドホーン村にある彼女の自宅兼アトリエへ。茶色のコテージで、ピンクの野ばら垣根が彼女のうちだ。垣根を入ると芝生が広がる結構広い庭が見えた。 ベバリーは「私のインストラクションに従うのではなく、一緒に作っていくから、何でも言ってね」とのこと。短い瞑想のなかで、何がしたいか、起こるべきかチェックすると「動きたい」だった。大きな紙に絵を描きたい。でも、別に何っていうわけじゃなく、ただ、身体から出る動きに合わせて描いてみたかった。はじめは、オイルパステルを両手に持って、両方一緒に動かしていく、背伸びしたり、スクワットみたいに腰をかがめたり。ただ、呼吸を感じて、自然に体が上下に、左右に動いていった。あまり、重ねたくはなく、透明な空間を感じたかった。 途中でどうすればいいかわからなくなった。するとべバリーは「庭に出て何に心惹かれるか、何を語りかけてくるかみてみましょう」というので、はだしでそのままゆっくりと庭に出て行った。日の光をあびてきらきら光る草、温かい芝生の感触、赤ちゃんを連れていてちょっと警戒してなくカモメたち。小さく堅そうなリンゴの果実、さわさわと髪の毛のようにゆれる白樺の枝葉。ブラックバードのつがいがお互いに距離を取りながらも一緒にエサを探している。そこで私の心に語りかけてきたのは、タンポポだった。タンポポは黄色い可憐な花だし、葉だって食べられるが、雑草として引き抜かれたりする。それでもまた咲ける場所を見つけてもどって来る。別に刈られたからって怒るわけでもなく、また咲く場所をみつけてたくましく咲く。その普通の強さと美しさになんだか心を打たれた。ベバリーにシェアをし、そしてまた戻って絵を描いた。ベバリーは、こんな感じで自然をインスピレーションに使う。体の動きにフォーカスし、自然に耳を傾ける。そしてまた続ける。何かを表現してやろうとか、何かを描いてやろうとか、意図をもって描くのとは全く違う。ただ、何が現れてくるか待つという感じだ。(つづく)
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